個人事業主として軽貨物ドライバーの仕事をする場合、配送の仕事だけでなく、帳簿付けや確定申告といった事務作業も避けて通れません。しかし、他業種から転職した人や、初めて個人事業主として働く人にとっては、「帳簿=難しそう」「確定申告が不安」と感じることも多いのではないでしょうか。
今回は、軽貨物ドライバーに必要な帳簿の基本や経費の考え方、確定申告との関係について、初心者にも分かりやすく解説します。確定申告前に最低限押さえておきたいポイントを整理し、安心して仕事を続けるための土台作りをサポートします。

軽貨物配送の北商物流
北商物流株式会社は、2011年に東京都北区に代表取締役社長・瀬戸口敦が創業しました。社長の瀬戸口は業界団体の軽貨物ロジスティクス協会理事長も務め、常に業界のイノベーションと品質向上を牽引。ガイアの夜明けやNHK、新聞各紙にも取り上げられ、メディアから注目されています。ネットスーパーや企業配送、ルート配送、3PLなど幅広い軽貨物業務を展開し、稼働台数は1日150台超の規模で安定運営中です。
目 次
軽貨物ドライバーに帳簿付けが欠かせない理由とは
個人事業主として軽貨物ドライバーをする場合、帳簿付けは必ず向き合う必要がある業務です。配送業務に慣れるまでは、売上管理や経費の記録を後回しにしてしまう人も少なくありません。しかし、帳簿は確定申告と直結しており、事業を続けていくうえで欠かせない土台になります。
また、売上がまだ少ない段階でも、個人事業主として仕事をしている以上、帳簿を作成しておくことが求められるケースがあります。帳簿と確定申告は切り離して考えることができないため、早い段階で基本的な考え方を理解しておくことが重要です。
帳簿とは?なぜ必要なの?
帳簿とは、日々の売上や経費といったお金の動きを記録するものです。軽貨物ドライバーの場合、配送業務による報酬のほか、ガソリン代や車両関連費用など、継続的に発生する支出を整理して記録していきます。
帳簿がない状態では、正確な所得を把握できず、確定申告時に申告ミスが起こる可能性があります。結果として、修正申告や税務上のトラブルにつながることもあります。
一方で、帳簿は税金計算のためだけのものではありません。日々の収支を記録することで、仕事の振り返りや経営状況の把握にも活用できます。
参考:軽貨物ドライバーは本当に稼げる?年収の目安と成功するためのポイントを解説|北商物流
帳簿を付けることで得られるメリット
帳簿を付けていると、収支の状況を客観的に把握できるようになります。今月の利益がどの程度出ているのか、経費を使いすぎていないかといった点を確認しやすくなります。
その結果、確定申告の準備もスムーズに進み、期限直前に慌てることが少なくなります。
さらに、帳簿は将来的に車両の購入や融資を検討する際の資料としても役立ちます。帳簿付けは、軽貨物ドライバーとして安定して働き続けるための基本的な管理手段といえます。
軽貨物ドライバーが押さえておきたい経費の考え方
軽貨物ドライバーとして働く場合、経費の考え方を理解しておくことは帳簿付けの基本です。経費とは、売上を得るために必要となった支出のことで、確定申告では所得を計算するうえで重要な要素です。
経費を正しく把握できていないと、実際よりも多く税金を支払ってしまう可能性があります。
軽貨物ドライバーの場合、日常的に発生する支出が多く、経費の対象になるかどうかの判断に迷う場面も少なくありません。そのため、代表的な経費項目をあらかじめ把握しておくことが大切です。
代表的な経費としては、ガソリン代や車両の維持費、消耗品費、通信費などが挙げられます。ただし、すべての支出が無条件に経費として認められるわけではなく、仕事に必要な支出かどうかを判断する必要があります。
私用と仕事用が混在している場合は、業務に使った分だけを経費として計上する考え方が基本になります。
経費にできるかどうかの判断は、帳簿付けや確定申告の精度に大きく影響します。詳細な経費の内容や具体例については、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
参考:軽貨物ドライバーの税金と経費の基本|確定申告やインボイス対応まで詳しく紹介|北商物流
帳簿の基本|どうやって書いたらいい?
帳簿付けと聞くと、細かくて難しい作業を想像する人も多いかもしれません。しかし、軽貨物ドライバーの帳簿付けは、最初から完璧を目指す必要はありません。大切なのは、売上と経費を継続して記録できる形を作ることです。
無理なく続けられる方法を選び、少しずつ慣れていくことが現実的な進め方になります。
帳簿は、毎日必ず付けなければならないものではありませんが、ため込むほど負担が大きくなります。日々もしくは月単位など、自分に合ったタイミングで記録することが重要です。
帳簿の付け方と基本的な流れ
帳簿付けの基本的な流れは、売上を記録し、経費を記録するというシンプルなものです。売上は、配送業務によって発生した報酬を金額と日付ごとに整理して記録します。
経費については、ガソリン代や消耗品費など、業務に必要だった支出を領収書や請求書をもとに記録していきます。
領収書や請求書は、後からまとめて処理しようとせず、できるだけ早めに記録することが重要です。記録をため込むと、内容を忘れてしまったり、処理自体が負担になりやすくなります。
参考:軽貨物ドライバーは未経験でも始められる?働き方・必要準備・成功の秘訣は?|北商物流
帳簿に役立つツールの考え方
帳簿付けの方法には、手書き帳簿、Excel、Googleスプレッドシート、会計ソフトなど、さまざまな選択肢があります。手書きはシンプルで始めやすい一方、管理に手間がかかる場合があります。
Excelやスプレッドシートは、自分で項目を調整できる点がメリットですが、入力ルールを決めておかないと管理が煩雑になりがちです。
会計ソフトを使うと、帳簿付けから確定申告までを一元管理しやすくなります。いずれの場合も、最初はシンプルな形で始め、継続できる方法を選ぶことが重要です。
最近では、オンラインで使えるクラウド会計ソフトを使っている方も増えてきました。業務の空き時間にスマホから利用できるので、記入漏れも少なくなりそうですね。
軽貨物ドライバーに確定申告が必要な理由
軽貨物ドライバーとして個人事業主で働く場合、確定申告は避けて通れない手続きです。帳簿付けと確定申告は密接に関係しており、帳簿がなければ正確な申告を行うことができません。
そのため、日々の記録と確定申告は切り離して考えるのではなく、一連の流れとして理解しておきましょう。
確定申告は毎年決められた期間内に行う必要があります。2026年の確定申告期間は、2月16日(月)から3月16日(月)までです。この期間内に申告と納税を済ませなければなりません。
期限直前になって慌てないためにも、日頃から帳簿を整えておくことが、結果的に事務作業の負担を軽減することにつながります。
参考:軽貨物での副業は稼げる?始め方からリアルな収入・注意点まで徹底解説|北商物流

確定申告が必要になるのはどんな人?
確定申告が必要になるのは、個人事業主として軽貨物配送の仕事をしている人です。年間の所得が一定額を超える場合は、確定申告を行わなければなりません。
また、副業か本業かに関わらず、条件に当てはまる場合は申告が必要になるケースがあります。
「売上が少ないから申告しなくてよい」「副業だから不要」といった誤解をしている人もいますが、実際には状況によって申告義務が生じることがあります。自分が該当するかどうかを正しく把握しておくことが大切です。
確定申告の種類と申告までの流れを把握しよう
確定申告にはいくつかの種類があり、どれを選ぶかによって帳簿の内容や準備の手間が変わります。軽貨物ドライバーとして個人事業主で働く場合、自分の事業規模や管理体制に合った申告方法を理解しておくことが重要です。
あらかじめ全体の流れを把握しておくことで、確定申告の時期になっても落ち着いて対応できるようになります。
参考:【2025年版】軽貨物ドライバーの独立開業ガイド|費用・準備・注意点を解説|北商物流
青色申告と白色申告の違い
確定申告には、白色申告と青色申告の区分があります。白色申告は帳簿の作成方法が比較的シンプルで、初めて確定申告を行う人でも取り組みやすい方法です。ただし、税制上の控除は限定的になります。
一方、青色申告は帳簿付けの手間が増えるものの、控除額が大きくなるなどのメリットがあります。軽貨物ドライバーの場合、継続して事業を行うのであれば、将来的に青色申告を選択するケースも少なくありません。どちらが適しているかは、事業の状況に応じて判断することが大切です。
確定申告の期日と実際の流れ
確定申告は毎年時期が決まっており、期限内に申告を行う必要があります。申告に向けては、帳簿の整理や必要書類の準備を進めていきます。
帳簿が整っている場合は作業がスムーズに進みますが、記録が不十分な場合は確認や修正に時間がかかります。
申告直前になって慌てないためにも、早めに準備を進める意識が重要です。確定申告は一度きりの作業ではなく、毎年繰り返す手続きであることを理解しておく必要があります。
軽貨物配送ドライバーのための経費管理のコツ
経費管理は、帳簿付けや確定申告をスムーズに進めるための重要なポイントです。軽貨物ドライバーの場合、日々の業務の中で発生する支出が多く、管理が曖昧になると後から整理する負担が大きくなります。
そのため、経費を後回しにしない工夫や、日常的に管理しやすい仕組みを作ることが大切です。
まず意識したいのは、経費の記録をため込まないことです。領収書をまとめて処理しようとすると、内容を忘れてしまったり、記録自体が面倒になったりして、ミスを招きやすくなります。支出が発生したタイミングで記録する習慣をつけることで、帳簿付けの負担を軽減できます。
また、領収書をなくさない工夫も重要です。財布や車内に保管場所を決めておく、スマートフォンで撮影して保存しておくなど、自分に合った方法を選ぶことで管理しやすくなります。
私用と仕事用の支出を混在させない意識を持つことも、経費管理を楽にするポイントです。可能であれば、仕事用の支払い方法を分けることで、帳簿付けがシンプルになります。
帳簿付けや経費管理は、一度に完璧を目指す必要はありません。無理なく続けられる形で習慣化することが、結果的に確定申告前の負担を減らすことにつながります。
帳簿と確定申告、よくある質問
軽貨物ドライバーとして帳簿付けや確定申告を進める中で、細かい点に迷う人は少なくありません。ここでは、特に質問が多い内容を整理して解説します。
経費はどのように帳簿に記載すればいい?
経費を帳簿に記載する際は、日付、内容、金額を基本項目として記録します。何に使ったお金なのかが後から見て分かるよう、できるだけ具体的に内容を記載することが大切です。
すべてを細かく書こうとする必要はなく、まずは最低限の情報を継続して記録することを優先します。
報酬はどのタイミングで帳簿に記載すればいい?
軽貨物ドライバーの報酬は、配送業務によって発生した売上として記録します。基本的には、入金があったタイミングを基準に記載する考え方が一般的です。
委託元からの振込についても、金額と日付を整理して帳簿に反映させることが重要です。
帳簿はどれくらいの期間保存すればいい?
帳簿や領収書などの書類には、法律で定められた保存期間があります。軽貨物ドライバーとして個人事業主で働く場合、原則として帳簿は7年間の保存が必要です。
これは、確定申告の内容について税務署から確認を求められる可能性があるためです。
白色申告の場合でも、帳簿や領収書の保存は必要で、内容によっては5年間以上の保存が求められるケースがあります。青色申告の場合は、帳簿の保存期間が原則7年とされており、より長期的な管理が前提になります。
保存方法は、紙でもデータでも問題ありませんが、後から内容を確認できる状態で保管しておくことが重要です。確定申告が終わったからといってすぐに処分せず、一定期間は整理して保管しておく必要があります。
後になって車両購入や融資の検討、過去の収支確認が必要になる場面もあるため、帳簿は長期的に役立つ資料として管理しておくことが大切です。
帳簿を付けるために何を準備すればいい?
帳簿付けを始めるにあたって、最低限必要なのは、売上と経費を記録できる環境です。ノートやExcelなど、身近な方法から始めることができます。
慣れてきた段階で、より管理しやすい方法に切り替えていく考え方も現実的です。
帳簿と確定申告を理解して、安心して軽貨物の仕事を続けるために
帳簿付けや確定申告は、軽貨物ドライバーとして個人事業主で働く以上、避けて通れない基本業務です。難しそう、面倒そうと感じる人も多いですが、実際には完璧を目指す必要はなく、できる方法から始めて習慣化することが大切です。
日々の売上や経費を記録しておくことで、確定申告前に慌てることもなくなり、仕事に集中しやすい環境を整えることにつながります。
一方で、軽貨物の仕事を始めたばかりの段階では、帳簿や税金のことまで一人で判断するのが不安に感じられる場面もあります。そうした不安を抱えたまま働き続けることは、精神的な負担にもなりやすいものです。
北商物流では、これから軽貨物配送の仕事に挑戦したい人や、個人事業主としての働き方に不安を感じているドライバーに向けて、仕事だけでなく、働き方や基礎知識に関する情報発信も行っています。
参考:
軽貨物ドライバーが「きつい」と言われる理由とは?続けやすくするコツも紹介|北商物流
軽貨物ドライバーは女性も活躍できる?働き方と魅力を徹底解説|北商物流
帳簿付けや確定申告に限らず、軽貨物ドライバーとして安心して長く働くための環境を整えたいと考えている人は、ぜひ採用サイトもあわせてご確認ください。
監修:瀬戸口 敦
北商物流株式会社 代表取締役
軽貨物ロジスティクス協会理事長
編集・執筆:酒井安澄