次に設置をする技術者の確保と育成ですが、幸いにも当社にはリーダーの加藤ドライバーを始め、既にスキルを持っている人材が在籍していましたので、荷主様のお力をお借りしながら、マニュアルや教育項目の作成などを行いスムーズに研修を開始する事が出来ました。
私自身も取り付け設置業務はほぼ素人でしたので、毎日同乗研修し、時間を見つけて会社や自宅のテレビで練習するなど、技術の習得に励んだ次第です。
弊社導入前は、お届けの商品点数が多く、既存契約先で有るトラックの配送会社だけでは対応が行き届かず、繁忙期には購入からお届けまでの間お客様をお待たせする事が有った（特に設置・取り付けを要する家電）との事です。
又、家電配送＝大きなトラックだったので、小回りが利かず細い道に入って行けない、駐車スペースが中々無いなどの交通問題に加え、専門性の高い家電設置業務との両立ができる人材が家電業界的に不足していたお話しも現場担当者の方より伺いました。
私どもは軽貨物ですので、交通問題はトラックよりも利が有りますが、車両が小さい為、一度に運べる荷物の量は限られます。
ありがたい事にそこで荷主様よりご提案を頂き、ファミリー層向けの配送は従来通りトラックで行い、単身者向けの軽貨物車両で対応可能なものは当社に割り当て頂く事となりました。
大事な事はどの車両で運ぶかという事ではなく、テレビであればしっかり配線などの取り付け・設置をした上で、問題無くテレビを視聴出来るかという事なのです。
今までの軽貨物業界は運んでお渡しする事が目的でしたので、新たな視点で新しい業務にチャレンジするチャンスを頂けた事、そしてこのように前例無き未知なる可能性が眠っていた事に気付かせて頂いた事は、これから先の当社にとってかけがえのない経験と財産になると思っています。

【自転車専用配送】
上記の産業廃棄物収集運搬の申請から認可までの半年間の間に、こちらも初めて挑戦となる自転車配送専用の配送を同じ荷主様よりお任せ頂く事が出来ました。
自転車には電動自転車を始め、チャイルドシートの有無など様々な形状が有り、更に言えば商品にインチが違う車輪がついているという特性上、荷室で固定出来ない事や台数が多く積めないなど、当初は想像と違う事が多く課題が山積しておりました。
そこで私達は業界でも類をみない、軽貨物幌車をこの自転車配送業務の為だけにコストをかけて専用に改造する事を選びました。
車屋さんと打合せしながら試作を繰り返し、商品保護のテストでは急ブレーキや急発進した場合、荷台にどれくらいの負荷がかかり自転車はどうなるのか？耐久性のテストでは高速道路で走行する際の時速ごとの風の当たり方までも計測しました。
そのテストを子供用・大人用・電動自転車など各種類別に行いましたので、合計テスト時間は述べ100時間以上になりました。
更に商品保護の為に、内部には特殊な緩衝材を荷台全面に貼り付け、トラック顔負けのラッシング付きの車両にすることで問題を全て解決する事が出来ました。
通常なら物理的な限界という部分で、途中でストップになっていたかも知れませんが、弊社社長も最後まで「費用や時間を使っても良いから、絶対にあきらめる事なくチャレンジしよう！」と言い続けてくれた事もあり、唯一無二の車両が完成出来たと思います。
今までの経験は時として固定概念になってしまっているので、今回のお取引を通じて会社としても私個人としても大きなきっかけを掴む事が出来ました。
今後もご提案とアイデアで色々なお荷物やお客様のお役に立てれば幸いです。

当社が業務を受託する以前の配送業者では、日々配送注文件数が違うにも関わらず、配送件数が増えた時の保険として、最初からレギュラー稼働台数を多めに設定していました。
更に一律の車建て保証料金契約との事でしたので、受注・配送した件数に関係無く、お店様は配送コストが常に高止まりした状況が変わらないという問題を抱えていました。
また、近隣店舗にはそれぞれ違う配送業者が入っている為、各個店単位で管理をしなければならず、同じ小売りブランドでもサービス品質にも差が出ているとの事でした。
当社に切り替え頂く事で、結論から申し上げると全体のコスト削減を実現させました。
具体的にはそれまで慣例だった車建て料金設定を1件ごとの件建て料金へ変更する事で、件数が多ければドライバーの売り上げも総じて上がり、少なければ早上がりなどで稼働台数減らすなど、店舗様から見た場合の受注件数と配送コストをイコールの関係にしました。
特売日や平常日という日単位でなく、毎便単位で細かく予測台数を設定・変更しておりますので、生産性が悪い車両や時間帯などにも満遍なくかかっていた見えないコストが省かれ、結果大幅な外注費の削減につながりました。
更に、近隣店舗一帯の同じグループの「ネットスーパー」や「お買い物便」の配送を全て当社に切り替えて頂く事で、個店単位ではなくエリア全体を包括したドミナンス（面）配送が可能になり、大型店から比較的小さなお店までを全体でカバーして配送する体制が新たに誕生しました。
具体例としては、ある店舗で想定以上に件数が増えた場合は近隣の店舗から直ぐに応援が入り、また小さな店舗（子店）はわざわざドライバーを固定で常駐させる必要はなく、近隣の店舗（母店）のドライバーが注文の入った時のみ子店に立ち寄って配送するという具合です。
この様に最小ドライバーと最小稼働台数で、最大の店舗数と件数を配り、更にエリア全体を責任持って通年で一社が包括して受け持つという契約方法は、東京都内でいち早く当社が取り入れ実現したという自負が有ります。
実際に配送するドライバーも、配送件数が増える事で売上げが上がるので、双方にとって大変良い結果になりました。
参考までに、この新しい取り組みはお客様主催の全国物流改善発表会で優秀賞を頂く事が出来る程でした。
コスト面以外でも当社は色々な取り組みを独自に行ってきました。車両の禁煙化と紙タバコ喫煙者の業務禁止を、全社化する前にいち早くこの業務に取り入れました。やはり食品を扱う以上、臭いには敏感になりますので非常に大切な部分です。事実当社は開始以来タバコクレームの発生はいまだにゼロです。
又、配送先のお客様それぞれの大切な個人情報を扱うので、運送業界ではまだまだ取得が少ないプライバシーマークを会社で取得し、情報の漏洩と危険性、保護とその方法を明文化し、配送車内であっても取り扱いを一律にする事など、徹底的にお客様の情報を守る事を意識付けして参りました。
この様な取り組みを一過性で終わらせずに継続する為、90種類以上の項目が有るチェックシートを作成し、定期的な同乗や抜き打ちでのチェックを行うなど、常に高いレベルを維持する事が管理者としての務めだと考えております。
私達の看板商品でも有るこのネットスーパー便とお買い物便を今後は他の小売企業様などにも、是非実感して頂ければ幸いです。
今後もご提案とアイデアで色々なお荷物やお客様のお役に立てれば幸いです。