軽貨物ドライバーは、普通免許さえあれば未経験からでも始められる仕事として注目されています。働き方の自由度が高く、年齢や経歴を問わず挑戦しやすい一方で、働くうえで必要な準備や知識を理解しておくことが安心して続けるためのポイントです。
今回は、軽貨物ドライバーの仕事内容、働き方の違い、未経験者が準備すべきこと、収入アップのコツまでをわかりやすく解説します。初めての方でも失敗しないための基礎が身につく内容です。
軽貨物配送の北商物流
北商物流株式会社は、2011年に東京都北区に代表取締役社長・瀬戸口敦が創業しました。社長の瀬戸口は業界団体の軽貨物ロジスティクス協会理事長も務め、常に業界のイノベーションと品質向上を牽引。ガイアの夜明けやNHK、新聞各紙にも取り上げられ、メディアから注目されています。ネットスーパーや企業配送、ルート配送、3PLなど幅広い軽貨物業務を展開し、稼働台数は1日150台超の規模で安定運営中です。
軽貨物ドライバー未経験者のための基礎知識
軽貨物ドライバーは、未経験からでも挑戦しやすい仕事です。仕事内容は、軽バンなどを使って小さな荷物を配送するシンプルな業務が中心です。取り扱う荷物はネット通販の商品、企業間の書類や小包、食品など多岐にわたり、日常生活になじみのあるものがほとんどです。
働き方は大きく「雇用ドライバー(会社員)」「業務委託・個人事業主」の2種類があります。特に軽貨物配送では業務委託が多く、多くのドライバーが個人事業主として働いています。自分のペースで働きたい、副業として始めたい、収入を伸ばしたいと考える人には選択肢が広い点が魅力です。
必要な資格は普通免許のみで、黒ナンバーを取得して使用します。また、自賠責保険・任意保険など、仕事に必要な保険も事前に備える必要があります。
未経験でも理解しやすい仕事ですが、働き方の違いや保険・車両に関する基礎知識を押さえておくことで、安心して一歩を踏み出せます。

参考:【2025年版】軽貨物ドライバーの独立開業ガイド|北商物流
目 次
軽貨物ドライバーに必要な資格と免許
軽貨物ドライバーとして働くために必要な資格は、基本的に「普通自動車運転免許」のみです。AT限定の免許でも運転できるため、特別な免許取得に時間や費用をかけずに始められます。また、免許取得から2年以上が経過していれば運転履歴の条件も満たしやすく、年齢層を問わず挑戦しやすい点が未経験者にとって大きなメリットです。
車両は軽バンを使用するため、中型・大型免許や特殊な操作スキルは必要ありません。ただし、事業として荷物を運ぶためには車両を黒ナンバー(事業用軽自動車)へ変更する手続きが必要になります。安全運転への理解や基礎的な車両管理は求められますが、特別な専門資格は不要で、日常的な運転経験がそのまま仕事に活かせます。
個人事業主ってどんな働き方?
軽貨物ドライバーの働き方の多くは「業務委託」と呼ばれる形態で、個人事業主として配送業務を行います。会社員として雇用される場合とは異なり、勤務時間や配達件数、稼働日数などを自分で調整できる点が大きな特徴です。特に働き方の自由度が高く、副業や週数日の稼働など、ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい傾向があります。
報酬は出来高制が中心で、配達件数や走行距離によって収入が変動します。努力がそのまま収入に反映されやすい一方で、スケジュール管理や車両維持費、保険料、税金などは自分で管理する必要があります。責任の範囲は広がりますが、その分収入アップのチャンスも大きく、働き方を自分でデザインしたい人に向いています。
軽貨物ドライバーに向いている人・向いていない人
軽貨物ドライバーは、未経験からでも挑戦しやすい仕事ですが、向き不向きがはっきりと出やすい職種でもあります。
向いている人の特徴としてまず挙げられるのは、安全運転ができることです。軽貨物配送では毎日長時間の運転を行うため、慎重さや状況判断が非常に重要になります。また、荷物を丁寧に扱える細やかさ、体力に自信があること、時間管理がしっかりできることも大切なポイントです。決められた時間内に複数の荷物を届ける必要があるため、コツコツと作業を積み重ねることが得意な人は特に向いています。
一方で、遅刻や欠勤が多い人、運転に苦手意識がある人は注意が必要です。軽貨物の仕事は個人プレーに見えますが、配送先や依頼元の企業との信頼関係がとても重要で、時間にルーズな人は評価が下がりやすくなります。また、コミュニケーションが極端に苦手な場合も、配達先でのやり取りにストレスを感じる可能性があります。継続力が弱いと収入が安定しにくいため、粘り強く取り組めるかどうかも大きなポイントです。
さらに、未経験者にとって最初のつまずきやすいポイントとして、土地勘の不足や荷物の扱い方、スケジュール配分があります。これらは経験を重ねれば身につくため、最初は焦らず取り組む姿勢が重要です。性格や働き方の傾向を理解したうえで、自分に合った働き方かどうかを判断することが長続きの鍵になります。
未経験からチャレンジ!軽貨物ドライバーになるための7ステップ
軽貨物ドライバーは、未経験からでも準備を踏めばスムーズに始められる仕事です。まずは働き方を決め、必要に応じて車両の準備や黒ナンバーの取得を行います。その後、任意保険・貨物保険に加入し、配送会社や案件を選んで登録します。
業務委託で働く場合は開業届や青色申告の手続きも必要です。最後に、積み込みから配達、報告までの業務の流れを覚えれば、実務を安心してスタートできます。未経験でも取り組みやすい点が魅力です。

ステップ1 働き方を選ぶ(雇用/業務委託/個人事業主)
ステップ2 車両を準備する(自家用車・購入・リース)
ステップ3 黒ナンバーを取得する
ステップ4 任意保険・貨物保険に加入する
ステップ5 軽貨物配送会社や案件を選ぶ
ステップ6 開業届・青色申告の手続きを行う(個人事業主)
ステップ7 配送業務の流れ(積み込み→配達→報告)を覚える
ステップ1 働き方を選ぶ(雇用/業務委託/個人事業主)
軽貨物ドライバーを始める際は、まず「どの働き方にするか」を決める必要があります。雇用ドライバーは会社員として働く形で、固定給があり、車両費や保険料の負担が少なく安定性を求める人に向いています。
一方、業務委託や個人事業主として働く場合は、自分で案件を選べる自由度が高く、頑張り次第で高収入を狙える点が魅力です。ただし、車両維持費や保険料、税金管理などは自己負担となるため、自立した働き方が求められます。未経験であっても、どんな働き方が自分の生活に合っているかを最初に整理することが大切です。
ここでは個人事業主で働く場合を想定して、ご説明します。
ステップ2 車両を準備する(自家用車・購入・リース)
軽貨物配送では、軽バン(N-VAN、ハイゼットカーゴなど)が一般的に利用されます。すでに自家用の軽バンを持っている場合は、その車を事業用に登録して使うことも可能です。
車を持っていない場合は、中古購入・新車購入・リースといった方法から選べます。初期費用を抑えたい人にはリース、長期的に続けたい人には購入が向いています。
走行距離が伸びる仕事のため、燃費・車両状態・荷室の広さも重要なチェックポイントです。車両準備は収入と運営コストに直結するため、慎重な検討が必要です。
ステップ3 黒ナンバーを取得する
軽貨物の仕事では「黒ナンバー(事業用軽自動車)」で走ることが法律で定められています。取得手続きは運輸支局で行い、必要書類を揃えれば未経験でも数日以内に手続きが完了します。
黒ナンバーを取得することで、事業として荷物を運べる正式なドライバーとなりますが、取得後は事業用としての保険加入や車両管理の責任も伴います。車検や日常点検も欠かせず、個人事業主としての仕事の土台となる重要なステップです。
ステップ4 任意保険・貨物保険に加入する
配送業務では事故や荷物破損などのリスクに備える必要があり、自賠責保険だけでは補償が十分ではありません。そのため、対人・対物補償のある任意保険と、荷物の破損を補償する貨物保険への加入が必須に近い位置づけになります。
保険内容や保険料は会社員と違い、自分の責任で選び契約します。特に個人事業主は、事故が発生した際の自己負担が大きくなりやすいため、補償内容をしっかり確認しておくことが重要です。安心して働き続けるための大切な準備といえます。
ステップ5 軽貨物配送会社や案件を選ぶ
働き方が決まり車両と保険の準備が整ったら、軽貨物配送会社などと契約をして案件を受けるステップへ進みます。配送会社によって、宅配・企業ルート・スポット便などの得意分野が異なるため、自分の働き方や希望収入に合う会社選びが大切です。
未経験者の場合、最初はサポートが手厚い会社や研修のある会社を選ぶと安心です。稼働日数、単価、エリアを比較し、経験を積みながらより良い案件へステップアップしていくことも可能です。
ステップ6 開業届・青色申告の手続きを行う(個人事業主)
業務委託で働く場合は、税務署に「開業届」を提出して個人事業主として登録します。あわせて「青色申告承認申請書」を提出すれば、帳簿管理を行うことで65万円の控除など税制面のメリットを受けられます。売上管理、経費管理、確定申告はすべて自分で行う必要がありますが、会計ソフトを使えば未経験者でも対応できます。税金の仕組みを理解しておくことで、収入と経費のバランスを把握しやすくなり、長期的な運営が安定します。
ステップ7 配送業務の流れ(積み込み→配達→報告)を覚える
軽貨物配送の基本的な流れは、荷物の積み込み、ルートの確認、配達、完了報告というシンプルなものです。未経験の場合は、荷物の扱い方・効率的な積み方・配達先でのマナー・アプリ操作など、最初は覚えるべきポイントが多くあります。慣れてくると自分なりの効率化ができるようになり、一日の配達件数も増やせます。配送の流れを理解し基礎を押さえることで、未経験でもスムーズに日々の業務を進められるようになります。
参考:軽貨物 車両リースは『やめとけ』と言われるのはなぜ?|北商物流
軽貨物ドライバーの収入とステップアップの方法
軽貨物ドライバーの収入は、働き方や担当する案件の種類によって大きく変わります。報酬の仕組みは主に出来高制が中心で、配達した荷物の個数や走行距離、チャーター便の時間単価などによって報酬が決まります。未経験の場合、まずは宅配案件で基礎を身につけることが一般的ですが、配達スピードや精度が向上するにつれ、より単価の高い案件へステップアップしていくことが可能です。
収入を上げるための方法として、まず「案件選び」が重要です。宅配は件数が安定し、企業配送はルートが固定されやすく、チャーター便は単価が高い傾向があります。それぞれの特徴を理解し、自分の生活スタイルや目標収入に合った働き方を選ぶことが大切です。また、継続して真面目に勤務することで評価が上がり、より良い案件の紹介につながるケースも多くあります。
さらに、スケジュール管理の工夫や積み込み方法の改善など、日々の業務の効率化も収入アップに直結します。経験を積むほど走行ルートの理解が深まり、一日の配達件数を増やせるようになります。車両を追加して稼働日数を増やすなど、収入の柱を複数つくる方法もあります。未経験からでも成長しやすく、努力が収入に反映されやすい点が軽貨物ドライバーの強みです。
軽貨物ドライバーを仕事に選ぶメリットデメリット
軽貨物ドライバーは、未経験からでも始めやすく、前職からの転職を検討している人にとって魅力の多い仕事です。最大のメリットは「働き方の自由度」が高い点で、勤務日数・稼働時間・働くエリアを自分で調整しやすく、家庭やプライベートと両立しやすい点が特徴です。また、人間関係のストレスが少ない傾向があり、コツコツ作業や一人の時間が好きな人に向いています。出来高制で努力が収入に反映されやすいのも大きなポイントです。未経験でも挑戦しやすく、独立しやすい職種である点も魅力です。
一方で、デメリットとして「収入の波がある」ことが挙げられます。個人事業主として働く場合、稼働状況や案件によって収入が変動しやすく、安定を求める人には不安を感じる場面もあります。また、車両の維持費やガソリン代、保険料など必要経費も自分で管理する必要があり、自己管理能力が求められます。長時間運転や荷物の持ち運びで体力が必要になること、悪天候や道路状況に左右されやすい点も理解しておく必要があります。
前職が事務職・飲食・販売などの場合、体力面やリズムの違いに戸惑うこともありますが、反対に「人間関係の負担が少ない」「働き方の裁量が大きい」といったメリットを実感しやすい仕事です。自身の生活スタイルや性格に合うかどうかを確認して選ぶことが大切です。
安全運転の基礎知識
- お客様の荷物を扱う仕事として「安全第一」が重要
- 事故が起きやすい場面に注意する(駐停車、バック、狭い道など)
- 配送中の安全運転を心がける(車間距離、スピード管理、ながら運転の禁止など)
- 積み荷の破損を防ぐポイントを押さえる
- 事故が個人事業主に与える影響を知っておく
軽貨物ドライバーの仕事で最も重要なのは「安全運転」を徹底することです。配送業務はお客様から預かった荷物を確実に届ける仕事であり、事故や破損は直接的な信頼低下につながります。特に軽貨物は住宅街や細い道を走ることが多く、駐停車やバックの際に事故が起きやすい点が未経験者がまず知っておくべきポイントです。
安全運転の基本は、車間距離とスピード管理です。荷物を多く積んでいると車体が重くなり、普段よりブレーキが効くまでの距離が伸びます。また、スマートフォン操作などの“ながら運転”は重大事故の原因になるため絶対に避ける必要があります。信号の変わり目や交差点でも無理をせず、常に「一手先」を考えた運転が求められます。
さらに、積み荷の破損防止も安全運転と同じくらい重要です。荷物は平らに積み、倒れやすいものは固定する、割れ物は衝撃が少ない位置に置くなど、積み方ひとつで破損リスクは大きく減ります。
個人事業主の場合、事故による修理費・休業・信頼損失の影響は特に大きくなります。日々の車両点検、適度な休憩、体調管理まで含めて「安全第一」の姿勢が長く働き続けるために欠かせません。
北商物流ではドライバーの皆さんが安心して業務を行えるよう、全員を対象に安全運転講習を実施しています。軽貨物配送ドライバー未経験の方は、荷物の積み方や軽貨物車両ならではの事故予防方法など、実際にやってみなければ理解しにくいことがたくさんあります。先輩ドライバーや配送会社の人と積極的にコミュニケーションを取り、学んでいく姿勢が大切です。
参考:安全への取り組み|北商物流
軽貨物ドライバーの健康管理
軽貨物ドライバーの仕事は、長時間の運転と荷物の持ち運びが続くため、健康管理が非常に重要です。特に腰、肩、手首などに不調が出やすく、無理をすると慢性的な痛みにつながることがあります。荷物を持ち上げる動作が多いため、姿勢や体の使い方を意識することが欠かせません。また、日常的に軽いストレッチや筋力を維持する習慣は、疲労軽減に大きく役立ちます。
長時間運転では、同じ姿勢を続けることで血行が悪くなり疲労が溜まりやすいため、こまめな休憩が必要です。水分補給を忘れず、休憩時には軽いストレッチを挟むことで集中力も保ちやすくなります。また、薬を飲んでいる場合は眠気の副作用に注意し、安全運転に支障がないか確認することが大切です。
さらに、個人事業主として働く場合、体調不良による欠勤はそのまま収入減につながり、依頼元との信頼にも影響します。無理をせず、自分の体調を管理しながら身体をメンテナンスする事も大切です。日々の生活習慣を整え、小さな疲労を溜めない工夫をすることで、長く続けられる働き方になります。
未経験から軽貨物ドライバーを始めるなら配送会社選びを重視しよう
未経験から軽貨物ドライバーとして働き始める場合、最も重要なのが「どの配送会社と組むか」という点です。軽貨物業界では業務委託が中心であり、会社ごとに案件の種類、サポート体制、稼働エリア、単価などが大きく異なります。最初の会社選びで働きやすさが大きく変わるため、未経験者こそ慎重に比較することをおすすめします。
特に、研修がある会社や先輩ドライバーのフォロー体制が整っている会社は、初期の不安を減らし、長く続けやすい環境につながります。最初は相互理解が出来ずにミスマッチが起きやすいので、しっかりとコミュニケーションを取ってくれる会社、相談に乗ってくれる会社と一緒に仕事を始めるほうが良いでしょう。
また、報酬体系の透明性や走行距離・件数のバランス、負担の大きすぎない案件を紹介してくれるかも重要なポイントです。案件のミスマッチから来るストレスは早期離脱の原因となるため、自分の生活スタイルと目標収入に合った会社を慎重に選びましょう。
未経験者にとって面倒見の良い会社と組むことは、そのまま働きやすさと成長スピードに直結します。最初の一歩こそ、会社選びを比較検討する事が成功への近道です。
監修:瀬戸口 敦
北商物流株式会社 代表取締役
軽貨物ロジスティクス協会理事長
編集・執筆:酒井安澄