軽貨物ドライバーとして働く際、「どんな保険に入ればいいのか」「任意保険は本当に必要なのか」と悩む人は少なくありません。個人事業主として働くことが多い軽貨物配送では、事故やトラブルが起きた場合の責任を自分で負う必要があります。
しかし、保険の種類や補償内容は分かりにくく、十分に理解しないまま仕事を始めてしまうケースも見られます。
また、2024年より自動車保険料の値上げが始まり、より慎重な選択が求められるようになりました。
この記事では、軽貨物ドライバーに必要な保険の基礎知識や相場、選び方について、これから軽貨物を始める人向けに分かりやすく解説します。

軽貨物配送の北商物流
北商物流株式会社は、2011年に東京都北区に代表取締役社長・瀬戸口敦が創業しました。社長の瀬戸口は業界団体の軽貨物ロジスティクス協会理事長も務め、常に業界のイノベーションと品質向上を牽引。ガイアの夜明けやNHK、新聞各紙にも取り上げられ、メディアから注目されています。ネットスーパーや企業配送、ルート配送、3PLなど幅広い軽貨物業務を展開し、稼働台数は1日150台超の規模で安定運営中です。
目 次
軽貨物配送のドライバーに必要な保険の基礎知識
軽貨物ドライバーは、会社に雇用されるのではなく、個人事業主として働くケースが一般的です。個人事業主の場合、業務中に起きた事故やトラブルに対する責任は、原則としてすべて自分で負うことになります。会社員のように、会社が加入している保険で守られるわけではありません。
とくに軽貨物配送では、車両事故や人身事故、荷物の破損など、さまざまなリスクが日常的に発生します。しかし、プライベート用の自動車保険では、業務中の事故が補償対象外となるケースも多く、十分な備えができていない状態で働いている人も少なくありません。
万が一、保険に未加入、または補償内容が不十分な状態で事故を起こした場合、高額な賠償金を自己負担することになったり、仕事を継続できなくなったりする可能性もあります。軽貨物ドライバーとして安定して働くためには、保険を「コスト」ではなく「リスク対策」として正しく理解することが重要です。
個人事業主の軽貨物ドライバーとして働くには黒ナンバーの取得が必要
軽貨物配送を仕事として行う場合、車両には黒ナンバーを取得する必要があります。黒ナンバーは、営業用・事業用として軽貨物車両を使用する際に必要なナンバープレートです。
自家用の白ナンバーと黒ナンバーでは、使用目的が異なるため、加入できる保険の内容にも違いが出てきます。業務で使用しているにもかかわらず、自家用扱いの保険に加入していると、事故時に補償されないリスクがあります。
黒ナンバーの取得手続き自体は複雑ではありませんが、保険についても「事業用」であることを前提に見直す必要があります。
参考:Q 開業手続きはどうする?(開業届・黒ナンバーの取得)|北商物流
軽貨物ドライバーが加入すべき保険は3種類
軽貨物ドライバーが検討すべき保険は、大きく分けて3種類あります。それぞれ補償の役割が異なり、どれか一つで代替できるものではありません。
最低限必要となるのが、自賠責保険、任意保険、貨物保険です。これらを組み合わせることで、人身事故、物損事故、荷物のトラブルといった軽貨物配送特有のリスクに備えることができます。
どの保険が必要か分からないまま仕事を始めてしまうと、思わぬトラブルで大きな負担を抱えることになりかねません。まずは、それぞれの保険の特徴と役割を整理して理解しておくことが重要です。
参考:【2025年版】軽貨物ドライバーの独立開業ガイド|北商物流
自賠責保険
自賠責保険は、法律で加入が義務付けられている保険です。すべての車両に加入義務があり、未加入のまま運転すると法律違反になります。
補償の対象となるのは、事故の相手方の人身被害のみです。対物事故や自分自身のケガ、車両の修理費などは補償されません。また、補償額には上限があり、大きな事故では十分とは言えないケースもあります。
軽貨物車両における自賠責保険料は、車検時にまとめて支払う形が一般的で、比較的負担は小さいものの、この保険だけで業務リスクをカバーすることはできません。
任意保険
任意保険は、自賠責保険では補えない部分をカバーするための保険です。対人賠償、対物賠償、車両保険など、補償範囲を広く設定できます。
軽貨物配送は走行距離が長く、事故のリスクも高いため、賠償額が高額になりやすい特徴があります。業務使用の場合は、必ず「営業用」「事業用」として契約する必要があります。
保険料の相場は、補償内容や年齢、等級によって異なりますが、月額数万円程度を目安に考えるケースが多く、長く働くうえでは現実的な備えといえます。
貨物保険
貨物保険は、運んでいる荷物に対する補償を行う保険です。配送中の破損や紛失、盗難、保管中の破損などが補償対象となります。
扱う荷物の種類や単価によって必要性は変わりますが、高価な荷物を運ぶ場合や、元請け・荷主から加入を求められるケースも少なくありません。
保険料は契約内容によって幅がありますが、比較的低コストで加入できる場合も多く、トラブル時の信用問題を防ぐためにも検討しておきたい保険です。
軽貨物配送業に任意保険は必要?
任意保険は「任意」という名称から、加入しなくても問題ないと考えられがちです。しかし、軽貨物配送業においては、任意保険に加入せずに働くことは大きなリスクを伴います。
自賠責保険は人身事故のみが補償対象であり、対物事故や高額な賠償責任には対応できません。配送中に他人の車や建物を破損させた場合、その賠償はすべて自己負担になる可能性があります。軽貨物配送は市街地や住宅地を走行する機会も多く、事故の影響が大きくなりやすい業務です。
また、任意保険未加入の状態で事故を起こすと、金銭的な負担だけでなく、仕事の継続自体が難しくなるケースもあります。元請けや業務委託先から、任意保険への加入を条件とされることも多く、安定して働くためには加入しておく方が現実的といえます。
参考:軽貨物ドライバーが「きつい」と言われる理由とは?|北商物流

保険料を安く抑えるための方法
保険は必要不可欠とはいえ、できるだけ費用は抑えたいと考える人も多いはずです。保険料を抑えるためには、まず複数の保険会社で見積もりを取り、条件を比較することが重要です。
業務内容に合わない過剰な補償を付けていると、保険料は必要以上に高くなります。配送エリアや走行距離、荷物の内容を整理し、自分の働き方に合った補償に絞ることがポイントです。
また、年間走行距離や使用頻度を正しく申告することも大切です。実態とかけ離れた申告をすると、保険料が高くなるだけでなく、事故時にトラブルになる可能性があります。車両保険についても、車の年式や価値を踏まえて付帯の有無を見直すことで、無理なく保険料を抑えられます。
保険はどのように選べばいいの?
保険を選ぶ際は、まず自分の働き方を整理することが重要です。専業としてフルタイムで働くのか、副業として限られた時間だけ稼働するのかによって、必要な補償は変わります。
次に、配送エリアや走行距離、運ぶ荷物の種類や単価を把握します。高価な荷物を扱う場合や、長距離を頻繁に走る場合は、それに見合った補償を検討しなければなりません。車両の年式や状態も、車両保険を付けるかどうかの判断材料になります。
判断に迷った場合は、「万が一の事故が起きても仕事を続けられるか」という視点で考えることが有効です。不安がある場合は、軽貨物配送に詳しい保険の専門窓口に相談することも選択肢の一つです。
2026年以降も見込まれる自動車保険料の値上げに備え、慎重に選択を
近年、自動車保険料は全体的に見直しが進んでおり、軽貨物ドライバーにとっても無視できない動きとなっています。任意保険については、車両修理費や人件費の高騰、保険金支払いの増加などを背景に、2024年から2025年にかけて大手損害保険会社を中心に保険料改定が行われており、契約条件によっては保険料が上昇するケースも見られます。
また、自賠責保険についても動きが出ています。2025年12月19日には、2026年度に自動車損害賠償責任保険(自賠責)の保険料を引き上げる方向で、業界団体と金融庁が調整していることが報じられました。引き上げは2013年4月以来13年ぶりで、上げ幅は5%前後とする案が示されています。自賠責は制度として一律に影響が及ぶため、今後は「保険料が上がる前提」で補償内容を見直し、自分の働き方に合った保険を選ぶ視点がより重要になります。
軽貨物ドライバーとして安心して働くために保険の理解と準備が重要
軽貨物ドライバーは、自由な働き方ができる一方で、事故やトラブル時の責任を自分で負う立場でもあります。そのため、保険は「入るかどうかを迷うもの」ではなく、安心して仕事を続けるために欠かせない準備の一つです。
とはいえ、どの保険にどこまで加入すべきかは、働き方や配送内容によって異なります。保険の選び方を誤ると、不要なコストがかかったり、万が一の際に十分な補償を受けられなかったりする可能性もあります。保険を含めた準備を整えたうえで、自分に合った働き方を検討しましょう。
北商物流では、これから軽貨物ドライバーとして働く人に向けて、仕事の進め方だけでなく、保険や車両、働き方に関する不安についても相談できる環境を整えています。未経験からスタートする場合でも、安心して業務を始められる体制を用意しています。
詳細は、下記、採用サイトをご覧ください。
監修:瀬戸口 敦
北商物流株式会社 代表取締役
軽貨物ロジスティクス協会理事長
編集・執筆:酒井安澄