【宅配の今:前編】では高まる宅配需要とそれに伴う問題点について解説しました。
本記事では、新型コロナウイルスが収束した後アフターコロナでの宅配事業の行き先と軽貨物運送の役割、立場についてご紹介します。
コロナ禍でより存在感を増した宅配事業ですが、今後の行き先が注目されます。
目 次
高まり続ける宅配需要とその種類
2022年8月現在、新型コロナウイルスが世界中に広まり始めてから約2年半の年月が経ちました。
アメリカや欧州など以前の生活スタイルに戻りつつある場所もありますが、それでもまだまだ感染者・死者数ともに収束とはいえません。
コロナ禍によって人との密な状況をできるだけ避け非接触が求められる中、生活必需品などの購入に宅配を利用する人の数が急増しています。
宅配の種類も以前のように路線会社だけでなく、家電量販店や飲食店、小売店など様々な業種・種類が出てきており非常に多様化しています。
コロナ以前にも宅配事業は大きく変わるという声もありましたが、コロナ禍によってそのスピードが更に加速した事は間違いありません。
フードデリバリーの拡大はものすごい勢いで進んでいる
ウーバーイーツやウォルトなど日本でも数多くのフードデリバリーサービスがあります。
コロナ前から街中で配達員を見かけるようになりましたが、コロナの影響でその数はさらに増えました。
食事を頼む側も仕事がなくなり配達員になる側もそれぞれ増え、今やフードデリバリーはなくてはならない存在です。
実際、エヌビーディージャパンのレポートによると2019年から2021年のフードデリバリー市場推移は2019年の4182億円から2021年には8000億円弱になっており実に倍です。
また、レストランだけでなくコンビニ業界もデリバリーサービスを展開しており、ローソンは2022年2月までに全国3000店舗を目指す方針を打ち出しました。
アフターコロナでの宅配事業
新型コロナウイルスの脅威が世界中からなくなったとしても宅配の需要は高まるとの意見が多くあり、実際、株式会社ヴァリューズが国内20歳以上の男女25,382人を対象にしたコロナ収束後の宅配に関する調査によると、
「食べ物の出前や宅配、持ち帰り」「日用品・化粧品」「洋服」「食材」など多くの項目でコロナ収束後もECや出前、宅配を利用するという人が多くいることがわかっています。
これらは定期的に必要になるもので、毎回、店舗に足を運んで買い物をするのは感染対策の点でも利便性的にも賢明とはいえません。
元々、宅配は便利と思っていたけれどなかなか利用には至らなかったという人たちがその便利さに気づき、確信になったということでしょう。
今後の軽貨物運送の役割
これからも宅配事業は求められ伸び続けることが上記で紹介したデータからも読み取られますが、個人消費を下支えしている軽貨物運送の役割も今後ますます重要になってくることが予想されます。
軽貨物運送は大型や中型ではなく軽貨物車両を使い荷物を配送するお仕事で、今後も需要が高まるであろう飲食や小売店など、元々配送業ではない業種と軽貨物運送がうまく連携をすることでサービスの幅が広がってきています。
普通自動車運転免許があれば手軽に始められる軽貨物運送。しかしその反面、サービス品質やドライバー品質などに大きな差が出ています。
こういった課題に目を向けていく事が出来るかが問われる時期に来ています。これから、どの業者やどんなサービスが消費者のニーズを掴むのかに注目が集まります。
2024年問題が重なり危機的な物流状況に陥る可能性も
そして、政府は2019年に施行された働き方改革関連法に基づき、2024年に時間外労働の上限が年間で960時間になります。
「2024年問題」と呼び、これについてはすでに知っているという人も多いかもしれませんが、これまで時間外労働ありきでお金を得ていたドライバーは収入が減りますし、ドライバーの需給は逼迫することでしょう。
この2024年問題が迫っている中、新型コロナにより軽貨物など物流が急増し宅配企業やドライバーはその対応に追われており2024年問題はスルーされているのも現実です。
あと2年、2024年問題が直面した時に軽貨物業界は「運べない」という危機に陥るかもしれません。
その時には、ドライバーへの賃金値上げや労働環境を見直したり、人材不足を解消するなど様々な工夫が求められるでしょうが、表面的ではなく輸送効率を改善したりサプライチェーンの効率化など軽貨物業界の根本的な解決も必須になると予想されます。
ドライバーにとって待遇が良く魅力的な仕事でなければいけません。
新型コロナも日本国内でこれまでの日常に戻るまでもうそんなに遠くはないと思います。今後の宅配事業、軽貨物事業から目が離せません。