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2023.12.28 軽貨物コラム

一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

北商物流株式会社 代表取締役の瀬戸口 敦が、ライターの鹿倉安澄さんからインタビューを受けました。鹿倉さんによるインタビュー記事を弊社ブログに掲載いたします。

 

2024年、北商物流株式会社は創業13年を迎えます。20代で初めて軽貨物の世界に足を踏み入れた瀬戸口社長は、北商物流を自ら興した一代目。ドライバー・営業担当・経営者と立場は変われど、20年以上この業界に身を置いています。現在は、北商物流の代表取締役だけでなく、軽貨物ロジスティクス協会の理事長としてもご活躍されています。
一代でここまで企業規模を拡大させ、協会の理事長に就任、ビジネス界の大先輩にも目をかけられ、大きく躍進できたのは、なぜなのでしょうか?

 

今回は、北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦(せとぐち あつし)さんにライターの鹿倉安澄がインタビューしました。
瀬戸口さんの人柄や創業に至った経緯、事業にかける想いに迫ります。

image1一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

お客様に選ばれる運送会社に

 

北商物流では現在、「企業配送」「eコマース」「個人宅配」「3PL」の4つを柱に事業を展開しています。大手企業からも選ばれる理由は何なのでしょうか。

 

瀬戸口 配送先が法人や店舗の「企業配送」では、創業以来、メーカー様との直接取り引きにこだわっています。
eコマース」は、大手家電量販店様のテレビの配送・設置・回収まで一手に引き受けています。あらゆるメーカーのテレビと周辺機器に対応できるよう時間をかけ知識を習得し、「テレビといえば北商物流」とまで言っていただけるようになりました。
個人宅配」は大手小売り業様のネットスーパーやお買い物便をお任せいただいています。
3PL」は一般の方には聞き慣れない言葉かもしれません。「3rd Party Logistics」の略称です。簡単に言うと、クライアント企業の商品在庫を弊社の倉庫で預かり、在庫管理から荷造り、発送までを一手に引き受ける事業です。現在は東大阪市の物流センターにて上記家電量販店様より3PL業務を受託し運営しております。

 

荷主であるお客様や配送先への配慮だけでなく、共に働くドライバーを大切にする姿勢も“選ばれる”理由かもしれません。
軽貨物業界では、基本的に個人事業主のドライバーと連携して業務を行っています。通常の軽自動車は、黄色地に黒字ですが、貨物輸送のために事業用ナンバーを取得しているナンバープレートは黒地に黄文字なんですよ。

配送業務を委託されるドライバーの皆さんは、時に弱い立場になってしまい、労働環境の悪化が懸念される事態に陥ることも。瀬戸口社長も、軽貨物の委託ドライバー出身。現場の気持ちは痛いほどよくわかると瀬戸口さんは話します。

image2一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

「初めは何もわからなかった」、営業職を経て経営者に

 

北商物流を創業した当初は「経営とはどういうことか」も分からず、戸惑うことも多かったと瀬戸口さんは話します。

 

瀬戸口 実は祖父が税理士だったんです。孫なのに、決算書の見方も全くわからなくて。創業時からの9年間は、祖父の税理士事務所を継いだ従姉妹(いとこ)に会計業務を見てもらっていました。税理士の枠を超え、アドバイザーのように親身になってくれました。
それこそ、私が小さな頃から可愛がってくれていたお姉さんなので、私の経営者としての考えが浅いと「あっちゃん!こういうお金の使い方ではだめだよ!」と遠慮なく(笑) 、指摘してくれたんですよ。身内だからこその鋭い指摘に助けられ、経営の数値的なところを学べました。今でもとても感謝しています。

 

小規模事業者や個人を対象とした税理士事務所であったため、北商物流の規模が大きくなってきた段階で従姉妹の方から「私には気を遣わず、法人専門の税理士事務所に頼んだほうがいいのではないか?」と話があり、一気通貫でお任せできる中小企業診断士の須藤 清先生や税理士の小野里 秀研先生にお願いするに至ったそうです。

 

接客業から営業へ。追われる辛さと仕事の面白さを知る

 

18歳からさまざまな職で人生経験を積み、現在のポジションに至った瀬戸口さんですが、働き始めた当初は、自分が経営者になるとは想像もしていなかったと話してくださいました。

 

瀬戸口 高校卒業後に選んだのは、夜の仕事でした。私には接客業が合っていたようで、“地元の埼玉県越谷市で”とはいえ、4〜5ヶ月でお店のNo.1になれたんです。

 

学校での勉強とは違い、自分のやり方次第で目に見えて成績が上がり、収入も増え、楽しく働いていましたが、次第に辛さを感じるように…。

 

瀬戸口 それまで自分が「追われる立場」になる経験がなかったんです。そんな私でもNo.1になれば、数字に縛られ続けられるんですね。お店からの期待がかかるし、ライバルの目が常に光っている状態。そのうえ、夜の仕事は1か月が終わればすべてリセットされ、翌月また0からスタートになるわけです。その繰り返しで段々と「楽しい」という気持ちが消えていきました。

 

1年ほど働き、次に目指したのは音楽の道でした。その頃はバンドブーム、地元の同級生から一気に人気アーティストに登り詰めた人も出て、本格的にプロを目指します。

 

瀬戸口 夜の仕事で歌う機会が多く、周りからは歌声をほめられるようになり、「このままボーカルとして芸能界デビューできるのではないか」と、その当時は本気で思っていましたね(笑)

image3一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

デビューを目指すためには日々の食い扶持を稼がねばなりません。これまで稼いだお金も尽き、始めたのは食品デリバリーの仕事でした。

 

瀬戸口 地図を頭に入れるのも早く、接客も問題なかったのですが、店長との折り合いが悪く喧嘩別れの様な形で辞めることになりました。でも、その職場の先輩が副業でやっていた軽貨物の配送業務に誘ってくれたんです。

 

現在につながる軽貨物の仕事を紹介されたのが20歳のとき。さっそく面接を受けに行くことになりました。当時は“個人事業主”が何なのかもわからず、「一国一城の主、社長みたいなものだよ」と言われ、そんなものか、とよくわからないままに仕事を始めたそうです。

 

瀬戸口 カーナビやGoogleマップが普及していない時代。紙の地図をつなぎ合わせて大きく広げ、そこに油性マジックでその日のルートを引いていくんです。翌日は除光液で消してまた書き直します。毎日地道にそれを繰り返しているうちにだんだんと覚えてきて。3年経つ頃には地図を見なくとも、担当の配送地域内ならどこへでも配れるようになりました。

 

瀬戸口さんの担当地域は、宅配業界の縮図のような地域だったといいます。

 

瀬戸口 そう広いエリアではないのですが、配送先は、個人宅だけでなく、繁華街、オフィス、店舗などさまざまで、丁寧な接客対応が求められる顧客が多くて。宅配会社からは「ドライバーがすぐに辞めていく、死のコース」と言われていたものの、私にとっては毎日が勉強で魅惑的なコースでした。多種多様な人との出会いに、日々、飽きることがなかったんです。

 

そのとき22歳。仕事を順調にこなす一方、夢はあくまでも音楽の道。軽貨物配送を一生の職にするつもりはなかったと言います。

 

瀬戸口 大前提はバンド活動だったんですよ。あくまでも「食べていくための仕事」で、正直、「これでなくては」とまでの強い想いでしているわけではありませんでした。ただ「配送の仕事は自分には向いているな」とは感じていました。

 

気付けば3年の月日が経ち、音楽活動ではチャンスが掴めない日々に、次第に焦りを感じ始めます。

 

瀬戸口 「別の仕事をしながら音楽をやっているという中途半端な状況がよくないのでは」と考え、スッパリ仕事を辞め、音楽一本に絞ろうと腹を括りました。が、そのことでメンバー同士の熱量の違いが浮き彫りになってきて…。結局、私が仕事を辞めてから半年で、バンドは解散することになってしまいました。

 

仕事と夢を同時に失った瀬戸口さん。音楽に専念した半年間で、貯金を吐き出すどころか借金を抱えてしまい、気持ちを切り替え、働く方向に一気に動き出します。

image4一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

瀬戸口 手元に残ったのは普通免許のみ。これで何ができるのか…。手っ取り早く稼ぐためには努力次第でインセンティブの入る仕事がいい。そこで選んだのが企業向け弁当の営業の仕事でした。初めての営業職、「自分で仕事を取り、契約につなげ、インセンティブが入る」、仕事の面白さを教えてもらいました。ここでは3年ほど働きました。

 

ただ、インセンティブでなんとか生活が成り立つ給与額だったので、契約が取れない月は厳しくて。
営業として働かねばインセンティブはもらえないのに、会社の都合で配送の仕事に回されることが増え、配送経験のある私は便利に使われるように…。でも配送をしていてはインセンティブも入りません。
その状況に納得がいかず上に掛け合ったものの、取り合ってもらえず。生活が回らなくなっていき、最終的に交渉は決裂、退職しました。

 

営業の楽しさを知り、新たな仕事に邁進する日々

 

「郷に入れば郷に従え」、ルールに従って真面目に働き、きちんと営業成績を上げたうえでの訴え。理不尽な体制や納得のいかない状況を無視できなかった瀬戸口さん。

その頃から薄々、「誰かが決めたルールの中で働くのは自分には向いていないのかもしれない」と思っていたそうです。雇う側から見れば、意欲的に働き営業成績は上げる一方、納得のいく説明をしないと動いてくれない“諸刃の剣”だったのかもしれません。

 

瀬戸口 その会社では働き続けられなかったものの、営業の楽しさを知ったことはその後の人生において大きな収穫でした。そこで、次の仕事に選んだのは、軽貨物の配送業で上場している会社の営業職でした。

 

入社後、あれよあれよという間に営業で全国150人中のトップを取り、さいたま市にある営業所の支店長になることが内定。しかし、そのタイミングで会社の経営状況が悪化し外資に身売り。すべて白紙になってしまいました。営業成績は全国トップでしたが、入社からまだ1年、後輩の入社もなく下っ端のポジション。自分にできることは何もなく、早々に退職を選びました。

 

瀬戸口 その当時、27歳くらいだったと思います。営業成績を買われ、引き合いが多かったので、就職先はすぐに決まりました。最終的に選んだのは、草加の小さな運送会社です。営業、面接、現場のクレーム処理、ドライバーが足りなければ穴埋めで配送、と全部やらなければならなかったのですが、「すべて自分の裁量で決められる会社がいい」と考え入社しました。業務負担は多いものの、責任者という立場にやりがいを感じ充実した日々でした。

 

そこで出会ったのが現在、北商物流の常務取締役である斉藤麻人さんでした。

 

瀬戸口 斉藤は私より先に入社していて、「クライアント企業から表彰され、お客様受けもいいS級ドライバーだ」と紹介されました。斉藤も音楽をやりながらドライバーをしているという共通点があり、すぐに親しくなりました。

 

共に働くうちに斉藤さんのドライバーとしてのスキルの高さや人柄の良さを目の当たりにして、本当に凄いドライバーだと感心していたそうです。瀬戸口さんは既にバンド活動を辞めていましたが、そのうち、斉藤さんも音楽に見切りをつけて現在の仕事に専念するという話になりました。

 

転機が訪れたのは30歳の春、2011年3月11日の東日本大震災の後でした。

 

瀬戸口 震災が起こったとき「ここで死ぬかもしれない」と初めて思いました。埼玉県の草加市は震源地からは遠く離れた地域であったのに、配送先の五階建てビルに「レベル4 倒壊の危険性有り」というような紙が貼られて。人間はいつ死ぬかわからないのだと、リアルに感じました。

 

震災当日、すぐに事務所に戻った瀬戸口さん。しかし、斉藤さんはなかなか戻りません。

 

瀬戸口 やっとのことで連絡がつき、「どこで何をしているんだ!」と聞くと、停電で真っ暗で標識も見えない中で配送を続けていたと。社長は早々に自宅に帰ったほどなのに、真面目に配送を続ける斉藤をみて、「家族の無事も確認できない状況で…」と、あきれつつも、その責任感の強さと仕事に真摯に向き合う姿勢に、お客様にも同僚にも好かれる人柄の良さを再認識しました。極限の状況に追い込まれたときにこそ、本当の人間性が見えてくるのだなと、震災の混乱の中で身に染みたんです。

 

震災をきっかけに、人生観が変わった瀬戸口さんは、斉藤さんとともに、2011年6月8日、北商物流を設立しました。

 

問題はその場で解決。ドライバーやお客様の声を大切に

 

クライアント企業とドライバー、軽貨物会社の間で起こるすれ違いが積もり積もってトラブルになります。
でも、一つ一つをよく見てみれば、その場ですぐに改善できるような事案が多いと瀬戸口さんは落ち着いた口調で話します。

image5一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

瀬戸口 「明日から、来月からすぐに変えます」というわけにはいかない規模の問題もありますが、「絶対に無理」なんてことはまずないと思っています。
「これは無理だけれど、ここまでならできます」と、折り合いをつけて円滑に進めていけばいいだけです。クライアント企業に対しても、ドライバーに対しても、話をよく聞き、問題を明確にして、丁寧に改善策を練れば、少しずつではあっても改善できるはずです。

 

2024年問題を控え、これからますますドライバー需要が高まるでしょう。お客様を大切にするのはもちろんのこと、「ドライバーにとって働きやすい環境を作り、世の中のイメージを変え、ドライバーという仕事に魅力を感じてもらいたい」、瀬戸口さんの熱い想いが伝わってきます。

 

瀬戸口 例えば、誤配を起こしてしまったら、「なぜ誤配が起こったのか?」「二度と起こさないためにどうしたらいいのか?」社員やドライバーと一緒に考え、都度事案を集約しています。
これはすでに習慣化しているので、何か問題が起これば、即座に社員から原因と対策を考えた長文のメッセージが届きます。それがドライバーの起こした“うっかりミス”だったとしても、その裏には指示する立場の社員の気のゆるみや現場ルールからの逸脱といった組織的な問題が潜んでいるのです。

人間が行う作業ですからミスはあります。ゼロを目指していますが現実ではどうしても起きてしまいます。重大事故につながる前に、小さなミスを見逃さず、対策していくことで限りなくゼロに近づけていきたい。北商物流の社員・ドライバーが一丸となって取り組んでいます。

 

企業名は伏せたうえで実際の報告を見せていただきましたが、起こった事実を包み隠さず、社員が即座に社長に連絡していることに驚きました。また、担当していた新人ドライバーを責める言葉は一切ありません。どこに問題があったのか考えて書かれた長文のメッセージに、北商物流の“本気度”を感じます。
頭ごなしに叱るのではなく、社員やドライバーに考えさせる姿勢を瀬戸口社長が常に持っているからこそ、改善に向けた取り組みに関わる人全員が積極的なのだろうと思いました。

 

軽貨物業界初!大学教授のアドバイスを配送業務に活かす

 

瀬戸口 中小企業診断士の須藤 清先生のコンサルティングを受けるなかで、竹内 康二教授をご紹介いただきました。私は「一番最初にやる」ことにこだわりを持っているので、軽貨物業界初の取り組みで、大学教授に安全にまつわるアドバイスをいただくことにしました。プライバシーマークの取得も業界ではいち早く行っています。
また2023年には道路交通安全マネジメントシステムの国際規格である ISO39001 の認証を取得。こちらも軽貨物業界初の試みです。

 

竹内教授は、「すべての行動には意味がある」という観点から、一般的に「なぜそんなことをするのか分からない」といわれる行動を分析しています。

 

瀬戸口 荷物の配送をしていても、「なぜそうなったのか?」一見わからないミスもあります。
また軽自動車で行う配送業務は、ひとたび事故を起こせば人命が関わる事態につながります。日ごろから竹内教授にアドバイスをいただき、重大事案が発生した際には、竹内教授との面談を設定し、原因を探り、再発防止に全力を尽くしています。
また、ドライバーにも社員にも、竹内教授による半年に一度の安全運転講習会への参加を義務付けています。

 

必要性を感じて定期的な開催を決めましたが、正直なところ、受講中の「居眠り」も多いのではないかと心配していたとか。しかし、実際は当事者であるドライバーたちが思っていた以上に真剣に竹内教授の話に耳を傾けている様子に、嬉しさを感じつつも驚いたそうです。

 

瀬戸口 実際のドライブレコーダーや防犯カメラなどの事故映像を見ながら、「なぜこのような行動が事故につながるのか」「事故発生によるリスクと、どれだけ多くの人に迷惑をかけ、悲しませるのか」など、竹内教授のお話をリアルにイメージし、参加者自身に考えて発言してもらう参加型の講習会です。

 

このような取り組みにより、現場で働く全員が当事者意識をもって安全対策を行う社風ができつつあるのでしょう。

 

瀬戸口 この講習会を通して、竹内教授が知識豊富であることはもちろん「何を言うかだけでなく、誰が言うか」も大切であると身に染みて思います。第三者の視点から客観的に話していただくことで、より現場の人間の心に響く講習会になるのだと思います。

 

「皆さんのようなドライバーはエッセンシャルワーカーと呼ばれていて、社会にとって必要不可欠な役割を担っているのだ」「SDGsの項目の中でここに該当しているよ」と説いてくださることで、これまで“他人事”と素通りしていた情報を自分事として捉え、仕事を通じて社会に貢献しているのだと気づき、意識向上につながっているそうです。

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軽貨物業界が抱える問題を北商物流から変えていきたい

 

瀬戸口 20年以上軽貨物業界で働いてきて、ずっと問題だと思っていたのは「お客様の声やドライバーの声を重要視していないこと」、そして、「その問題をずっと抱えたままであること」でした。現場の声に耳を傾け、一つずつ解決していく。これは、業種関わらず、企業が行うべき当たり前のことです。しかし、軽貨物業界はその部分でかなり遅れを取っている現実があります。

 

そこで始めたのが、軽貨物業界では非常にまれである「担当制」の導入でした。
他業界では営業の担当制は当然のことかもしれません。しかしながら、「本来の機能をきちんと果たしているか?」はまた別の話。北商物流では、本気で実行しているのですから、軽貨物業界で注目されているのも納得です。

 

瀬戸口 弊社には営業・配送する社員も在籍していますが、物流の大きな部分を担うのは個人事業主として働くドライバーたちです。

配送を請け負うドライバーのメイン業務はもちろん「荷物を運ぶ」こと。クライアント企業と運送会社の取次ぎまで自分の仕事であると思っているドライバーはほとんどいません。
しかしながら、荷主であるクライアント企業の方から見たら、軽貨物会社の社員であるか、配送を委託されたドライバーであるかの区別はないわけです。

クライアント企業のご担当者様にとっては、ドライバーが通常、軽貨物会社との窓口です。当然、ドライバーに直接、ご要望や改善提案などをお話しいただくケースが多くなってきますが、輸送業務を担うドライバーが負担に感じてしまうこともあります。

 

北商物流では、クライアントごとに、営業担当社員を配置しています。定期的にクライアント企業を訪問してヒアリングを行い、お客様の声はすべてその場でひろいあげます。

 

瀬戸口 担当制をとれば、弊社の仕事を請け負ってくれているドライバーは、本来の業務範囲である配送に専念でき、労働環境が圧倒的に改善されます。また、クライアント企業からも、細かいご要望を吸い上げ、トラブルを未然に防ぐことにつながっているとのお声をいただいています。

 

担当営業社員は、お客様との窓口となるだけでなく、ドライバーの手配や調整なども行います。輸送量の多い企業には、社員を複数名配置して、業務に滞りがないように配慮しているそうです。

 

瀬戸口 クライアント企業と軽貨物配送会社をつなぐ役割を、ドライバーに負わせるのは酷です。でも、何のフォローもしなければ軽貨物会社への不信感が募り、問題を訴えてきてくれた段階では「時すでに遅し」というケースも多いんです。

私も現場で働いていましたから、ドライバーが「現場の声、お客様の声の業務への反映が重要である」と思っても、ハードな配送業務を抱えながら、プラスαの仕事をできるか?というと、「それは難しいだろう」と理解しています。だからこそ、北商物流では「担当制」を採用しているのです。

まずは自分の会社から改善を進め、理事長を務める軽貨物ロジスティクス協会でも、その必要性を伝えていきたいと思っています。

 

軽貨物ロジスティクス協会の理事長として、軽貨物業界の改革を推進

 

軽貨物ロジスティクス協会には65社(2023年12月現在)が加盟しています。また、事業統合、事業再生、企業文化の構築など、企業変革のリーダーとして手腕を振るってきた松岡 昇さんが協会顧問を務めています。

 

瀬戸口 協会顧問の松岡さんのアドバイスに従い、「軽貨物業界でどのような取り組みをしていくか?」、事前に作成したアジェンダに沿って考えていきます。「同業の他団体とアライアンスを組むのか、組まないのか?」「業界の認知度アップ・ブランディングのために何ができるのか?」など、話し合っています。

12月のイベントは、三つのグループに分けてディスカッション形式で行いました。お題を決めて協会員が自分で考えるように促します。松岡さんからは「決して理事が語る場にしないように」とアドバイスをいただきました。理事は聞き役に回り、ファシリテーターとして意見を言いやすい雰囲気を作り、それぞれが当事者意識を持って考えてもらえるように配慮。今回初めての取り組みでしたが、熱い議論が交わされました。

 

いろいろな業種の「協会」があれど、軽貨物ロジスティクス協会ほど、活気のある協会はあまりないのではないでしょうか。

 

瀬戸口 最近、スタートアップ企業や3年以下の企業も増えてきて活気が出てきたことを嬉しく思っています。業界の認知度をアップさせ、協会への加盟が小さな会社のプラスになるような協会を目指しています。
まずは業界内での地位向上のために、会員数を100社に増やすことが目標です。
今は地域を区切らず、会員を募集していますが、やはり関東の会社が多く、北海道や九州の会員はまだいない状況です。最近、名古屋から2社加盟してくれました。
今のところ、役員報酬・理事報酬はないのですが、理事全員、全力で取り組んでいます。理事だけでなく、現在活動している会員のみなさんも、事業に真摯に取り組む企業ばかりだと、自負しています。

image7一代で築いた「お客様にもドライバーにも選ばれる運送会社」軽貨物業界の意識改革を推進する次世代リーダー 北商物流株式会社 代表取締役 瀬戸口 敦インタビュー

 

現場経験を事業や協会運営の礎に

 

他業種の営業や接客のノウハウがあるうえ、現場経験のある軽貨物業界歴も長いからこそ、改善点を見つけられるのが瀬戸口さんの強み。小さなことから積み重ねていけばもっと業界全体が良くなっていくはずだと、鋭く目を光らせます。
軽貨物会社ではまれな確定拠出年金の制度も導入。利益を追及するだけでなく、ドライバーの目線に立ってきちんと考えてくれる、働き手の強い味方でもあります。
今回お話を聞いて感じたのは、瀬戸口さんの頼もしさです。三兄弟のご長男だそうですが、血縁のあるご兄弟だけでなく、みんなにとっての「頼れる兄貴分」なのだろうと思いました。
「追われる立場の辛さ」を知り、「自分の力で切り拓く楽しさ」を知り、悔しい思いをしながらも、一時も立ち止まらずに進み続ける姿に、だれもが魅力を感じるはずです。

瀬戸口さんのすべての経験が、現在の北商物流につながっている。
ピンチが訪れると必ず、助けてくれる人が現れるのは、その人柄あってこそ。そして、強い運も持ち合わせていらっしゃるのでしょう。

チャンスがあれば見逃さず、仕掛けるポイントを外さない。それが瀬戸口 敦社長が北商物流を13年でここまで急成長させられた理由ではないでしょうか。

 

本日は貴重なお話、ありがとうございました。