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2021.10.29 軽貨物コラム

「送料無料」はなぜできる?送料無料のからくりとその負担を被る人

ネットショップなどで買い物をした際、「送料無料」というワードをよく見かけると思います。

 

買う側からすると送料がかからないのは非常にお得に見えますが、あなたはこのからくりを知っていますか?

 

今日は、ネットショップでの送料無料の仕組みについて解説します。

 

知っておきたい「送料無料」の仕組み

「送料無料」というのは、運営会社が無料で荷物を配達してくれる素晴らしいサービス…と思っている人が多いかもしれませんがそれは違います。

 

あなたも経験があると思いますが、何を送るのにも送料がかかり、その大きさや重さ、種類などによって費用がかかります。

 

手紙を送るのもそう、フリマアプリで売った商品を送るのもお金がかかります。

 

では、「送料無料」というのはどういう仕組みなのでしょうか。

 

それは大きく2つのパターンがあり、1つ目は商品価格に含まれているパターン、そして販売会社が負担しているパターンです。

 

送料無料と一見、お得に見える文言でもそれは商品代金に上乗せされており、経費などを考慮した上で販売者が赤字にならないようにしっかり計算されています。

 

つまり、基本的には利用者がお得になるような制度ではないということです。

 

ビジネスなので当たり前といえば当たり前です。

 

ただ販売会社が負担するケースもあり、これは例えば売り出したい商品を戦略的に送料無料にしてその他の商品の売り上げで販売会社側の負担した送料を補えるという計算の元に設定されています。

 

また「〇〇円以上で送料無料」というパターンも多いですが、これは送料をお店が負担している代わりに客単価=粗利が高くなるというのは有名な話です。

 

送料無料で負担を被るのは配達員

送料無料の仕組み自体は理解していただけたと思います。

 

送料無料を謳っている販売会社の中には、しっかり自社配送のみで行なっている会社もあります。

 

しかし、多くが大手路線会社とボリュームディスカウントでの契約を結んでおり、そのしわ寄せは下請けの配達員や配送会社への支払い運賃に反映されているのです。

 

かなり安い単価で働かされていたり、何度も再配達をしていたりと大きな負担になっています。

 

また、大手FC会社の中にはポスト投函をするタイプのものもありますが、家庭やマンションによってポストのサイズは異なります。

 

そのため、必ずしもポスト投函できるとは限らず、結局は玄関で手渡ししたり不在の場合は再配達など運賃に見合わない作業になります。

 

こういった配送現場の実情が報道されないので、販売会社側の「送料無料」という謳い文句がいまだに無くなりません。

 

利用者にとっては配達は家まで届けてくれて便利なので、このような裏の実情を考えたことはないかもしれません。

 

本当に「送料無料」と明記できるのは自社便配送で配達を行っているところのみであり、路線会社を使った送料無料という言葉は是正する必要があると考えています。

 

楽天の送料無料問題にも着目しよう

2020年3月に開始された楽天市場の「3,980円以上送料無料」問題ですが、まだ記憶に新しい出来事です。

 

これは楽天が指定の金額以上で送料無料にし、参加しない場合はサイト上で上位表示しないなどの措置をとった政策です。

 

当時、かなりの批判の声が上がり、実際は公正取引委員会が優越性を地位を使った独占禁止法違反に該当する可能性があると判断しました。

 

これは非常に大きな動きであり、送料無料を強要される小さな店や企業を救ったいい出来事でした。

 

この決断に対して、楽天は反省を示しており改善措置を申し出ました。

 

まとめ

今日は、ネットショップなどでの送料無料問題について解説しました。

 

一見、お得で便利なサービスですがそれは利用者の立場と経営者の立場だけでしょう。

 

荷物を届ける配達員やドライバーにとっては、報酬が低かったり労働が増えたりと負担ばかり増えるのが現状です。

 

もちろん中には自社便配送で行い、無料を謳っている誠実なところもあります。

 

でも、実際は送料無料を実現するために犠牲になっている人がおり、大手の楽天市場の問題やAmazonの早期配送も負担に拍車をかけているといえます。

 

今後は送料無料を実現するにしてもその負担を配達員にだけ被せるのではなく、お互い尊重し合いウィンウィンの状況を作ることが軽貨物業界を盛り上げることにつながるでしょう。

 

一見お得な「送料無料」、その負担を被るのは下請け配送会社

 

送料無料問題から変わる今後の配送の形